◆交通事故
300万円足らずの損害賠償額の提示だったのが、1100万円で示談
依頼者の方は、比較的若い公務員の方だったのですが、自転車を運転中に交通事故に遭い、足首の脱臼骨折等の傷害を負い、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として、12級7号の認定を受けました。
保険会社から本人宛に送られてきた損害賠償額の提示では、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料が低額であることは勿論、後遺障害による労働能力喪失期間は僅か9年間、依頼者側の過失は40%、最終的な損害賠償額は僅か300万円足らずと、お話にならないものでした。
裁判という選択肢もありましたが、依頼者は公務員で事故後も減収はなく、このようなケースの場合、裁判官の後遺障害による逸失利益に関する判断は、被害者側に厳しいものになりがちなため(実際に、逸失利益を全面的に否定した裁判例もあり、裁判官は、被害者本人が、痛みをこらえながら、事故前と同様の仕事を続けていることに対し、余り理解を示さない傾向にあります)、財団法人交通事故紛争処理センターに対し、示談斡旋の申立をしました。
示談斡旋委員の弁護士の説得もあり、4か月程で、後遺障害による労働能力喪失期間は就労可能年限である67歳までの34年間分の満額の約70%、依頼者側の過失は15%、最終的に1100万円の賠償金を受け取るという示談が成立しました。
示談斡旋は、弁護士に依頼しないで、被害者本人が申し立てることも、勿論、可能です(裁判も同様です)。
しかしながら、充分な法的知識もないまま、聞きかじりの知識で申立をしても、同様の結論を得ることができたかどうかは、大いに疑問です。
示談にせよ、裁判上の和解にせよ、当事者双方に、それなりの譲歩が求められることになります。
加害者側の保険会社の担当者は、弁護士ではないとは言え、示談交渉を生業としています。
裁判になれば、弁護士は、勿論プロです。
ですから、被害者本人の譲歩を求める方が、通常は容易な筈です。
最近の任意保険には、弁護士費用特約(交通事故の被害者になった場合に、被害者自身が加入している任意保険から、自らの弁護士費用が支払われる特約)が付いていることが多いので、交通事故の被害に遭った場合には、保険の内容を良くご確認することをお勧めします。
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